裁判離婚について

夫婦間の話し合いによって離婚を目指す協議離婚や、家庭裁判所で調停によって離婚を目指す 調停離婚を試みたけれども離婚が成立しなかった場合、離婚を求める側が家庭裁判所に離婚訴訟を提起することを裁判離婚といいます。

この場合、訴訟を起こし た側が原告、訴えられた側が被告と呼びます。

裁判離婚の場合は、双方の合意がなくとも裁判の判決によって離婚をすることが可能になります。裁判離婚は、協議離婚や調停離婚と異なり、裁判を行いますので、法律の専門知識や技術が必要になります。


裁判離婚を行うのであれば、「離婚したい」と思われ始めた初期段階から弁護士に依頼するほうが良いでしょう。

注意しておきたい点は、裁判離婚の場合も調停離婚と同じように1ヶ月~1ヶ月半に1度程度の頻度で裁判が行われるため、判決までに1年以上かかることがほとんどだということです。


また、判決の内容に納得ができない場合は、高等裁判所、そして最高裁判所と裁判を行うことが可能であるため、最長3年~5年の期間が必要になり、時間も費用もかかります。

早期の離婚を目指す場合は、協議離婚や調停離婚による問題解決ができるように離婚に詳しい専門の弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 

裁判離婚の条件

裁判離婚で離婚するという判決が下されるためには、民法770条で定められた離婚事由に該当しなければなりません。離婚事由は下記のとおりになります。

 

5つの離婚事由

①配偶者に不貞な行為があったとき

不貞な行為とは、配偶者以外との性交渉を指しますが、一時的なものか継続をしているか、また、愛情の有無は関係ありません。相手側に不貞行為があれば離婚事由となり、離婚をすることができます。

②配偶者から悪意で遺棄されたとき

配偶者から悪意の遺棄をされるというのは、結婚生活の協力や扶助、同居などの夫婦間における義務を、故意に果たさない行為のことをいいます。例えば、「ギャンブルばかりして働いてくれない」、「生活費を渡してくれない」といった事柄は悪意の遺棄に該当します。

③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき

3年以上配偶者との連絡がつかず、生死が不明の場合は離婚事由に当てはまります。7年以上連絡がつかない場合は、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることが可能になり、確定すると配偶者は死亡したものと判断され離婚が成立します。

④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

配偶者が精神病になったというだけの理由で離婚をすることはできません。医師による診断、これまでの介護や看護の状況、離婚後の配偶者の治療や生活の見込みなどを考慮し、裁判官が判断を下します。

 

⑤その他の婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

まずは、相当期間の別居状態にあるかどうかが重要なポイントです。なぜならば、婚姻を継続しがたいという状況にあるならば、通常は同居はせず別居をしているはずと考えられるからです。


もし、相当にあたる期間の別居があるといえない場合は、相手側の暴力や不貞など、相手側に有責行為があることが必要になります。その他の婚姻を継続しがたい重大な事由とは、例えば下記のような事由が挙げられます。

その他の婚姻を継続しがたい重大な事由の例

・性格の不一致がある場合
・配偶者の親族とのトラブルがある場合
・多額の借金を抱えている場合
・宗教活動にのめり込んでしまった場合
・性交渉の拒否

などがあげられます。

 

裁判離婚の手順

裁判離婚をすすめるためには、下記の4つの条件を整えることが必要です。
①離婚を求める内容と離婚の理由を書いた訴状を2通用意すること
②調停不成立証明書を用意すること
③戸籍謄本を用意すること
④上記3点の書類を管轄の家庭裁判所へ提出すること

このような訴状の作成は、離婚問題の専門家である弁護士に依頼することをお勧め致します。弁護士は、個々の相談者のケースに合わせて、適切な内容の訴状を作成することができます。

 

裁判離婚の注意点

裁判離婚では、原則的に離婚原因を作った有責配偶者は離婚訴訟を行えません。例えば、不倫相手と生活がしたいという理由で、離婚を請求するということは法律上では認められていません。

しかし、最近では下記のような一定条件を満たす場合においては、有責配偶者からの訴訟を認めるケースもあります。

・別居期間が同居期間と比較すると、相当長い場合
・未成熟の子どもがいない場合
・離婚請求された相手方が精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれていない場合

有責配偶者からの訴訟が認められるようになった背景には、別居などをしているために事実上の結婚生活が破綻し、修復が困難な状態で、婚姻を継続する必要がないと認められる夫婦を、いつまでも婚姻させ続けることとの方が不自然であるためです。


ただし、条件を満たしているからといって、有責配偶者からの訴訟が全て認められるわけではありません。

有責の状態で離婚についてお悩みの方は、まずは対処方法について離婚に詳しい弁護士に相談することをお勧め致します。

 

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